トップページ > 文豪コロシアム×創作論 >上城友幸先生
トップページ > 文豪コロシアム×創作論 >上城友幸先生
どうやったら上手く書けるようになりますか?
表題のような質問を読者からされたことがある人はありませんか?
自分も例にもれず、お客様から
「どうやってストーリーを考えるんですか?」
「自分も書いてみたいけれど、やった方がよいことってありますか?」
などのご質問を受け、都度しどろもどろに答えております。
そこで、改めて自分なりに考えを整理してここに列挙してみました。
もちろん、これは『絶対にコレをやるべきだ!』というものでもないうえに
(いちいち言われなくても……)
というような内容かもしれませんが、せっかくなのでお付き合いいただければ幸いです。
〇1 好きなものをひたすらインプット!
皆さんが書きたいと思ったきっかけはなんでしょうか?
多くの場合、とても面白い作品に出合い
「自分もこんな話を書きたい!」
と思ったことがスタートなのではないでしょうか?
なので、まずは色々な作品を読んだり見たりしましょう!
小説だけではなく、映画やドラマ、漫画、アニメ、ゲーム、舞台などなど……
多くの『物語』に触れることは、創作活動において絶対にマイナスになることはありません。
そうすると、よく
「こういうの好きじゃないけど、勉強のために見るか」
的な話を聞くのですが、僕的にはマストではないと思っています。
好きでもないし興味もわかないものを見るくらいなら、その時間に好きなもの、面白そうなものをたくさん見て、自分の感じる『好き』『面白い』『かっこいい』『グッとくる』などのポイントを自分の中にどんどん貯めていくことが大事だと思うのです。
あと……『面白そう』と思ってみたものが『そうでもなかった』ことも多々あるので。
それらのマイナス面の経験も蓄積しておくと、これはこれで役に立ちます。
いつかきっと。
〇2 書きたい衝動に逆らわず書く
インプットをどんどん重ねていくと
『こんなシーンが書きたい!』
『ああいうキャラを出したい! 縦横無尽に動かしたい!!』
的な思いが、物書きを志す人ならば沸き上がると思います。
その思いを形にするように、存分に書きましょう。
とはいえ。
最初は思うように書けないと思います。
さらに言うなら、『書きたい!』と思うトコはかけてもそれ以外が書けないということが結構あると思うのです。
なので、書けるとこだけ書いてみましょう。
すると、創作フォルダの中にはオープニングだけとかクライマックスシーンだけのファイルが多数保存されることになるかと思います。
それはきっと後々にみなさんの宝になります。
なので、遠慮せず執筆欲に逆らうことなく存分に書き倒しましょう。
そして、インプットも並行して続けます。
インプットというとなんとも高尚な響きがありますが、要するに
『好きな作品を読む』『好きな作品を見る』
だけですので、特別な意識もなくやり続けることになるかと。
まとめると
『読みたいものを読んで、書きたいものを書く。これを続ける』
大変なことは何ひとつありませんが、これがとてもとても重要なのです。
〇3 最後まで書く
【2】を続けていると、書き方もある程度わかってくる上に、自分の引き出しに『好き』がたくさん収納されてきたと思います。
それはつまり『好きなストーリー構成』も一緒に引き出しにしまわれているということです。
その段階になれば最初から最後まで物語を書きあげる力がついていると思いますので、ここぞとばかりに書いてみましょう!
さらに、その頃にはプロットを組むことも、それに則って書くこともできるようになっているはずです。
プロットだけでもガンガン量産しておくと構成力が身につきますし、これまた後々役に立つのでお勧めです。
また、書くときに好きな作家さんの文体模写をすることは、個人的にとてもおすすめです。
丸々模写するのでも、自分が惹かれた部分だけ模写するのでも良きかと。
何人もの文体を模写して書いているうちに、それがほどよく溶けあって唯一無二の自分の文体になると僕は思っています。
文体と言っても地の文だけではなく、台詞とかも含まれるので模写内容は小説のみならず漫画や映画なども含む感じです。
とにかく、この段階では自分の『好き』をどんどん形にしていきましょう。
〇4 ひたすらインプットとアウトプットを繰り返す
要するに【3】の精度を上げていく段階になります。
読みまくって書きまくるのが、手間と時間はかかるけど結局は近道なのだと僕は思います。
書き始めのころは、最初から最後まで書いてみたけど
(なんか思っていたのと違うな……)
となることが結構あるのではないかなと。
また、書き始めてみたものの
(あああああ……! 展開が広がりすぎて収集つかなくなっちゃった……!)
となって解決できず、結果投げ出してしまうのもよくあるパターンです。
それが、インプットとアウトプットを繰り返すことによって
『これが書きたかった!』
というものを効率よく書くことができるようになるのです。
自分の話になりますが。
15年前のアマチュア時代に書き始めて、自分の中ではプロットも組んで形にできる計算で書き始めたものの、途中で話を広げ過ぎて
(いかん……2時間の尺に収まる気がしない)
(それ以前に、クライマックスにたどり着く道筋が見えない)
と5年間も悩みに悩んだ挙句に問題を解決できず、結局放り出した作品があったのです。
そして去年、企画の提案をする機会があって。
(そういえば、あの作品が条件に合うな)
と思い立ち。
(とっ散らかっているから、整理してやり直すか)
と、軽く考え始めたところ
・渋滞していた箇所をすべて解消。
・プロットを改めて見ると、破綻はしていないまでも展開の起伏に欠けていたことに気が付いたので組みなおす。
・キャラクターの設定がボヤっとしていたのを、物語の柱に沿って組みなおし、メインキャラをしっかり起てなおす。
・2時間の尺にきっちり収める。
という感じで。
アマチュア時代に5年間かけてどうにもならなかった問題が、わずか2時間ほど考えただけであっさり解決できてしまい
(プロ、すげえっ!!)
と、自分で自分に驚愕するという出来事があったりしました。
なにせアマチュア物書きの自分と、10年以上プロで物書きしている自分との実力比較ですから、レベルの差がとても分かりやすかったというわけです。
これらはすべて、インプットとアウトプットを蓄積した賜物だと思います。
創作において、経験は絶対に裏切りませんというお話でした。
〇5 発表する!
どんな作品でも、最初の読者は自分です。
その自分が『最初から最後まで面白い!』と思うものが書けたなら、発表しましょう!
すると、現実では全く面識のない読者の感想や反応をもらえたりします。
やはり、自分以外の読者の反応というのは
(ありがたい……)
ものです。
感想をいただき、読者の反応を糧にすると同時に大いに参考にしつつ次の作品を書く。
発表し反応をもらうということは、創作活動の大いなるモチベーションとなることでしょう。
そして、それをきっかけに賞レースに参加したり持ち込みをしてみたり……
夢がどんどん膨らんでいきますよ!
〇まとめ 創作を楽しもう!
創作は楽しむことが大切だと僕は思うのです。
長年かけて自分の中に蓄積した『好き』『面白い』を、他人と共有するべく形にする。
僕はプロのはしくれですが、趣味ではなく仕事として書くようになった今でも全力で楽しんでいます。
だって、自分が『面白くてかっこよくて大好き!』なモノを形にするのって、楽しくないですか?
僕はとっても楽しいです。
あと、僕は自作を何年経って読み返しても
(面白いなあ)
と最後まで読み切ってしまうことが、よくあります。
どの作品も自分の好きを詰め込んで書いているからかな、と。
皆さんも、自分の好きを詰め込んだ何年経っても読み返したくなる作品を書いてみたいと思いませんか?
そのために、まずは好きなものを見て、読んで……
全力で創作を楽しみましょうっ!!
以上が『どうやったら上手く書けるようになりますか?』に対しての僕の考えです。
「こういう考え方もあるのか……」と、少しでもご参考になればうれしく思います。
他の創作論を読む