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創作論① 目指せ受賞! 誰でもミステリーが書ける方法
このたび創作論を書かせていただくことになった相沢泉見です。
私は公募の賞をいくつかいただきました。その経験から、主にライト文芸系の賞を目指す際のポイントを、なるべく実践的な観点で語りたいと思います。
ライト文芸系でおすすめのジャンルの一つはずばり、『ミステリー』です!
ミステリーを書くなんて無理だし向いてないよ……と、ここでブラウザバックされそうなのですが、その『無理』と思ったところがポイント。
私も小説を書き始める前はミステリーなど書ける気がしませんでした。なので最初は純文学のような話を書いていましたが、いわゆるライトミステリーの作品を応募したらすぐ最終選考に残り、一年くらいで受賞に至りました。ミステリーは難しいからこそ、競争相手が少ないのだと思います。
そして、ミステリーには『謎という要素が読者を自然にストーリーに引き込む』という大きなアドバンテージがあります。「結末はどうなるの?」と読者に思わせてページをめくらせる力が、他のジャンルより強いのです。
話さえ思いついてしまえば、公募において大きな武器となるでしょう。
ただ問題は『肝心のストーリーが思いつかないこと』ですよね。
実は、誰でもミステリーが書ける、とてもいいやり方があります。
ミステリーは謎の種類によっていくつかに分かれます。主流は『フーダニット(誰が犯人か)』と『ハウダニット(どうやって犯行を成し遂げたのか、トリックなども含む)』でしょう。
でも、フーダニットやハウダニットは話を考えるのが難しいです。私も、この二つでプロットを作るのにはいつも苦労します。
そこで狙い目なのが『ホワイダニット』。つまり『なぜそんなことをしたのか』という『動機』を謎の主軸に置くことです。
ホワイダニットでは、トリックや密室のような緻密な仕掛けの代わりに、行動を起こしたキャラクターを中心とする人物の心情を掘り下げることになります。
人の心の内はさまざまですが、仕掛けを思いつかなくても、経験や想像力を活かせる分野です。
さらに、心の内を書くことでエモーショナルな読後感を生みやすくなります。秘められた動機が明らかとなった瞬間は、フーダニットやハウダニットのような知的パズルを解いたときと同様のカタルシスをもたらすのです。
ホワイダニットにするとしても話が思いつかないよ……。
分かります! そういうとき、便利な考え方があります。
ホワイダニットと親和性があるのは、日常の謎系のお話です。日常、つまり身近に題材が転がっているのです。
ポイントは『普通ならしないことをなぜかやっている人を想像する』。
今、外は晴れていますか? もし朝からずっと雨だったとしたら、道行く人は傘を差しているはずですよね。
でも、その中に一人、持っている傘をささずにずぶ濡れになっている人がいたとしたら… …。
あの人はなぜ手にしている傘を差さないのだろう。壊れているのかもしれない。柄が派手で恥ずかしいのかもしれない。もしかしたら、流れている涙を雨で隠しているのかも……。
と、こんな風に『なぜ』をいろいろ想像していくと、ストーリーが思いつきやすいのではないでしょうか。
ここまでをまとめます。
①ライト文芸系の賞を狙うならミステリーがおすすめ
【理由】競争相手が少なく、読者を話に惹き付けやすいから
➁ミステリーの中でも『ホワイダニット(動機に焦点を当てる)』がいい
【理由】話を考えやすく、エモーショナルな読後感をもたらすから
では、今回は以上となります。みなさまの創作の助力になれば幸いです。