トップページ > 文豪コロシアム×創作論 >相沢泉見先生
トップページ > 文豪コロシアム×創作論 >相沢泉見先生
創作論②目指せ受賞! 下調べのやり方
創作論➁目指せ受賞! 下調べのやり方
ミステリーと並んで、ライト文芸系の賞を取りやすいジャンルがもう一つあります。
それは資料集めや勉強など、『下調べが必要なジャンル』です。
こういうのは執筆までのハードルが高い分、競争率が下がり、きちんと調べて書き上げれば審査の際に強い印象を残せます。
資料集めや勉強が必要な分野の代表は、歴史ものでしょう。例えば江戸が舞台の時代小説、平安時代や大正時代の人物が登場する作品などがそれにあたります。
これらは読者に当時の空気を感じさせることが重要で、登場人物の衣装や言葉遣い、暮らしの道具まで、逐一描写が求められます。もし調べを怠れば『それっぽい雰囲気』止まりになり、説得力を欠いてしまいます。
ただし、中華後宮ものについてはファンタジー色が強くても大丈夫です。
また、専門的な職業を描く作品も下調べが鍵になります。医師や弁護士といった定番から、神主や祓い屋のような宗教的職業まで、題材の幅は広いです。骨董品店や紅茶専門店など、特定の文化や品物を扱う店を舞台にするのもアリです。
こうした作品の魅力は『その職業ならではの知識や世界観』にあります。例えば骨董品を扱う場合、実際に本文に取り入れるかどうかは別にして、品物の特徴や歴史、専門用語などを知っておけば話に深みを出せます。
ここで一番の問題は、『調べもの』が面倒である点でしょう。その気持ち、とてもよく分かります……。
では具体的に、どうやって調べればよいのでしょうか。
まずおすすめなのは学校の教材です。歴史ものなら、高校生のときに使っていた社会科の資料集や国語便覧が意外に役立ちます。学生時代のものなんて捨ててしまった、という場合でも、今は書店やインターネットで購入できますよ!次におすすめなのは、先行作品をとことん読むこと。
歴史や専門的な分野は必ず過去に誰かが題材にしています。小説そのものを読むのはもちろんですが、参考文献が巻末に記されている作品なら儲けもの! それらを読めば効率的に調査を広げられます。
それでも疑問が残る場合は、図書館のレファレンスサービスを活用するとよいでしょう。利用者の調べものをプロの司書さんがサポートしてくれます。多くの県立図書館では公式ホームページからメールなどで問い合わせが可能です。さらに国立国会図書館でも同様のサービスが提供されています。レファレンスサービスを使えば、独学では到達できない資料にアクセスできます。
●質問の仕方の例
『○○について書かれた小説を探しています。「××(作品名)」と「◆◆(作品名2)」は既読です』
『○○時代に「~~」という習慣はあったのか調べています。資料があればご提示ください』
こんな風に質問すると、司書さんが資料を見つけてくれます。該当がない場合でも、近いものを教えてくれることがあります。
ここまでの内容をまとめます。
①ライト文芸系の賞を狙うなら下調べが必要なジャンルがおすすめ
【理由】執筆のハードルが少し高い分、競争相手が減るから
➁下調べのやり方
・学校の教材を使う
・先行作品、およびその参考文献を参考にする
・図書館のレファレンスサービスを活用する
調べものの大変さを『壁』ではなく『武器』として使いこなせれば、それが受賞への力強い推進力になるでしょう。
実際、私がとある賞を受賞した際、書いたのは江戸時代が絡む話でした。プロになってからは歴史好きということで大正時代が舞台の話を書かせていただいております。
身につけた知識は一生もの。プロになっても活かせますので、ぜひ挑戦してみてくださいね!
次 創作論➂公募・ライト文芸の賞を目指せ 連作短編の構成の仕方 近日公開!